アルネ・ヤコブセンは、デンマークが生んだ、20世紀でもっとも影響力の大きい建築家兼デザイナーであり、今日のモダンな北欧デザインの原型を作り上げたデンマークデザインの父と呼ばれる人物です。
トータルデザインという名の完璧主義に基づき作られる作品は、建物だけでなく、家具およびその他のインテリアに至るまで統一したテーマのもとにデザインされています。「SASロイヤルホテル(1960年)」とともに設計された「エッグチェア」や、「デンマーク国立銀行(1971年)」の設計時に作られた「バンカーズクロック」は、ヤコブセンの哲学が見事に花開いた傑作です。「美しいものを作るのではなく、必要とされているものを作る」というヤコブセン自身の言葉通り、生み出すプロダクト全てが計算し尽くされており、それらが半世紀以上経過した今でもデンマークのみならず世界中で高い評価を得ています。